膀胱がん
膀胱がんは、膀胱の内側の粘膜より発生する癌です。泌尿器科では前立腺がんに次いでよく見られる悪性腫瘍です。女性より男性に発生する場合が多く、喫煙が大きな発症要因と言われ、また印刷業や美容師、化学工場で有機溶媒の使用などに従事していた方に発がんの頻度が高く職業がんとしても位置づけられています。
痛みのない血尿(多くは肉眼的:尿の色でわかるもの)をきっかけにわかることが多いものです。痛みがなく、血尿が一時止まることも多く、治ったと判断し受診されず、進行した状態で発見されることも稀ならず見られます。また尿が近くなる(頻尿)や排尿後の不快感、尿の我慢がきかない、といった膀胱炎を思わせる症状を訴えることもあります。このため、抗生物質の投与を受けても症状が軽快しない場合は膀胱がんの可能性を考えなければなりません。
尿にがん細胞がないか(尿細胞診)、超音波検査(エコー)や膀胱ファイバースコープにより腫瘤があるか、などの検査で診断を行います。
腎がん
腎臓に発生する腫瘍の多くは悪性腫瘍です。多くは無症状なので、検診や別の腹部の症状で施行された腹部超音波検査で偶然見つかることが多い病気です。また顕微鏡で確認できる程度の血尿があり、画像診断により発見されることもあります。
精巣がん
精巣に発生する腫瘍で、90%以上が悪性腫瘍と言われています。 精巣腫瘍の発生率は、人口10万人当たり1-2人と比較的まれな腫瘍で、発症年齢は働き盛りの20-40歳代と、乳幼児時に小さなピークをもつ二峰性を示します。痛みのない陰嚢の腫大や硬結が主な症状です。また進行性の精巣腫瘍の場合は、陰嚢所見だけではなく転移部位によるさまざまな症状を伴うことがあります。
精巣腫瘍の30%は転移を有する進行性精巣腫瘍ですが、全体として抗癌剤による化学療法が著効し、転移のある症例でも系統的治療にて80%を治癒に導くことができることが最大の特徴です。痛みがなく、恥ずかしさから受診が遅れ進行してしまうことがあります。早期治療するために恥ずかしがらないで早めに受診することが大切です。