尿路結石とは
腎臓~尿管~膀胱~尿道といった尿の通り道にできた結石のことです。
結石は腎臓でつくられ、尿の流れとともに尿管、膀胱へと移動しますが、その過程で詰まってしまうと、尿の流れが妨げられ、痛みや発熱を引きおこすことがあります。結石は、結石のある場所により、呼び名が変わります(例:腎臓内→腎臓結石、尿管内→尿管結石、膀胱内→膀胱結石)。
症状
腎臓内にある時は、ほとんど自覚症状はありません。尿検査での異常(尿潜血や尿中白血球の増加など)で見つかることもあります。結石が尿管に移動すると(尿管結石)、前述した尿検査異常のほかに、尿に血液が混じったり、疼痛が生じることがあります。結石が尿管内に詰まり、尿の流れが妨げられると、激しい痛み(腰や背中、脇腹、下腹部の痛み)や、発熱の原因となり、緊急に処置が必要になることもあります。
尿路結石はなぜできるのか?
これは、結石の患者さんによく聞かれる質問ですが、医学の発達した現在でも、結石発生の原因は実に複雑で十分に解明されていません。現在、尿路結石の原因として、以下のようなものが考えられています。
- 尿中物質の過剰:カルシウム、シュウ酸、尿酸など。
- 結晶化の促進:結石を抑制する物質(マグネシウム、クエン酸)の減少など。
- 腎、尿路の病気:感染、奇形、尿の停滞など。
- ライフスタイル:食事、水分摂取。
- その他:遺伝、気候、年齢、性別、人種など。
以上のように尿路結石の原因は多くの因子が複雑に関与していると考えられています。
背景にある疾患としては、例えば痛風(尿酸結石の原因となります)、副甲状腺の病気、尿路の奇形、ある種の薬剤(副腎ステロイドの長期連用など)があります。しかし、尿路結石症全体の80%以上は原因不明と言われています。
検査
レントゲン検査やエコー検査により、結石のある場所、大きさ、個数などを調べます。単純レントゲンやエコー検査でも結石の有無が明らかでない場合は、CT検査や造影検査を行います。
治療
保存的治療:結石が小さく(およそ5mm 以下)の場合は、自然に排石される可能性がありますので、結石を排出しやすくする薬を飲んで頂きながら、経過観察します。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL):体外の装置によって造られた衝撃波(音波の一種)を結石にむけて集中させて結石を砕き、砂状にして尿と一緒に体外へと排出させる治療法です。体への負担も少なく、外来通院で施行可能です。尿管の下部の結石では効果が落ちます。
内視鏡による結石破砕術:尿道から内視鏡を挿入して膀胱内や尿管内の結石を破砕する方法(経尿道的結石破砕術:TUL)と背中から腎臓に針を刺して内視鏡を腎臓に挿入して破砕する方法(経皮的腎結石破砕術:PNL)の2種類あります。TUL は主に、膀胱内や尿管内の結石に対して行います。一方、PCNL は腎臓内や腎臓尿管のつなぎ目部分の結石に対して行います。
*ESWL、内視鏡治療が必要と判断された場合は、連携する総合病院にご紹介させていただきます。