頻尿
トイレに行く頻度を決めるのは、腎臓で作られる尿量、一度に膀胱に貯められる尿の量で決まってきます。たとえば一日2000mlの尿が腎臓で作られ、膀胱に400mlの尿を一度に貯められるとすると2000ml÷400ml=5回トイレに行く必要があります。それをもとに頻尿になる仕組みを次のように考えます。
① 多尿型:
腎臓で作られる尿がそもそも通常より多くて、トイレに行かざるを得ない場合
② 膀胱容量低下型:
膀胱に貯められる力(余裕)がなくて、膀胱に少し尿が貯まっては出して、また貯まっては出すことを繰り返し、トイレに行く回数が多くなる場合
③ :①と②が混合する場合
また、①の多尿型にも、一日の総尿量が多い終日の多尿型と、昼は尿量は多くないのに夜(正確には就寝中)のみ尿量が多くなってしまうパターンがあります。特に後者を夜間多尿と言います。その結果、昼間は全然気にならないのに夜になると何度もトイレに起きなければなりません。高齢の方に非常に多く見られるパターンです。
②の膀胱容量低下型は、昼夜関係なく頻尿が見られることが多いようです。
どのタイプかで対応の仕方が変わってきます。
まず②の膀胱容量低下型である場合は、膀胱にそもそも問題はないか、といった考えで検査し、異常があれば膀胱をターゲットとした治療を行います。
①の多尿型であれば、尿を作る速度、リズムの問題となるので、おしもの病気というより腎臓、心臓の異常がないか、その他の病気(糖尿病など)がないかといった視点で検査、治療をおこないます。同じ頻尿でも、対応が全く違う訳です。
このように頻尿のタイプ分けが重要なのですが、それには排尿日誌(排尿記録とも言います)が頼りになります。トイレに行った時刻とその時に出た尿量を昼夜にわたり記録していただきます。通常2日分の記録があれば判定が可能とされます。患者さんにとって面倒といえば面倒なのですが、非常に重要で参考になる情報が含まれていることから、こちらからはしつこくお願いさせていただいています。ご了解ください。
たかが頻尿、これでまず死ぬことはありません。歳のせいであることも事実です。一方で、生活習慣の見直し、少量のお薬で改善することも多く、また治療が必要な思わぬ病気が背後に隠れていることがあり、こちらもびっくりすることがあります。
気になるようであれば、一度受診を。