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前立腺がん
前立腺は膀胱と尿道の間にあり、正常では栗の実大で重量は20gほどです。診察は直腸診を行います。肛門より人差し指を挿入すると、指を奥まで入れた状態で前立腺を触れます。触診での固さ、大きさ、痛みの有無などをもとに、前立腺の状態、病気を診断することが出来ます。
近年、著名人が前立腺がんに罹ってその治療経過を公表したり、また、亡くなったりと言うマスコミの記事を多く目にするようになりました。身近に感じられるようになってきた前立腺がんですが、泌尿器科領域では最も多い悪性疾患で、近年特に著しく増加しています。2010年の統計では、がんの罹患率(がんにかかってしまった人の多さ)は胃がん、肺がん、大腸がんに次いで、第四位になっています。ちなみにアメリカでは第一位で男性癌の約30%がこの前立腺であるとされています。生活環境や食生活(特に脂肪の摂取量)がますます欧米化している日本人は、今後前立腺がんが増加する可能性が非常に強いと推測されています。
PSA検査
最近ではPSA({prostate specific antigen=前立腺特異抗原}の頭文字、ピーエスエーと読む)という優れた腫瘍マーカーの普及もあり、前立腺がんあるか否かの目安をつけることができ、前立腺がんはより早期に発見される様になってきています。PSAの正常値は決まっていません。しかし、実際の診断においては4.0 ng/mlを基準値とし、これを上回る場合をがんの疑いありとして精密検査(前立腺生検)をおこなうことを考慮します。
簡便で有用であるため、前立腺がんのスクリーニング(検診)に広く用いられています。ヨーロッパから大規模研究結果から、PSA検診が前立腺がん死亡率を減少させることが証明されました。前立腺がんの好発年齢である50歳になったら年1回のPSA検査をお勧めします。最近では自治体による住民検診、職場検診、人間ドックなどにおける検査項目にオプションとしてPSAも組み入れて測定することが多くなってきました。
前立腺生検
肛門から超音波の道具を挿入して前立腺を直接観察しながら、細い針を前立腺に直接刺して糸状の組織を採取してくるものです。日帰り検査で施行できます。採取した組織は専門の病理医が顕微鏡で検索して癌のあるなしを判定します。